「安心と安全を確保するために点検をしよう!」とは車の定期点検の為のキャンペーン。「故障して路上での立ち往生や事故等を回避でき、症状が悪化する前に整備出来、様々な部品にかかる負担が小さくなり車の寿命を延ばすことが出来ます。」と続きますが全く同じことが歯や口についても言えます。
特に初期むし歯や歯周病は痛みという体の警告が出ないうちは全く気がつかず大丈夫と思いがちですが、いつの間にか手遅れとなり嫌な治療をする羽目になります。又、普段からのお口の清掃は、一度教えてもらって出来るようになっても、徐々に自己流に戻ってしまいますので定期的にプロにチェックしてもらい方向修正することが必要なのです。
さらに定期的に口腔清掃を受けている方とそうでない方とでは、健康寿命に大きな差が出てくることは前回書きましたが、診療所内だけでなく高齢社会における訪問歯科治療の増加や訪問口腔清掃なども非常に重要な課題で、元気なお年寄りが増えれば回りまわって医療費の抑制にも繋がります。
大掃除の季節、歯とお口の定期健診と大掃除も考えてみましょう。優しい歯科衛生士さんがキレイにしてくれますよ。
2012年12月13日
平成22年の都道府県別健康寿命は女75.32歳で全国1位、男71.89歳で全国2位というなかなか優秀な結果ですが、そんな本県でも平均寿命(女86.30歳、男79.55歳)から健康寿命を差し引くと女約10年間、男約7年間何らかの介護や支援が必要な状態でいることがわかります。
よって介護保険が必要という事ですが、人は誰でもPPK(ピンピンコロリ)で誰にもお世話をかけずに充実した生涯を終えたいと思っているはずです。では、この差である不健康な期間をどうすれば少なくできるでしょうか?
先日、静岡市主催の市民対象健康講座で首都大学東京大学院の星旦二教授の「生涯現役をめざしましょう」という講演を聴く機会がありました。冗談を交えながらのお話の中に
①口紅・化粧・身だしなみ
②通帳を嫁に渡さない
③かかりつけ歯科医を持つ・・もう一つは夢を持つ・・・と仰っていました。
健康と思えるのは美味しい食事や楽しい会話ができテキパキ行動できること。きちんと噛めるように治したら、自身で行うセルフケアとしての毎日の歯ブラシの正しいやり方を教えてもらって実践し、歯科医院に定期検診に行きプロケアとしての口腔ケアを続けることの重要性を説いていました。
11月8日はいい歯の日です。みなさんもお口の健康について考えてみましょう。
2012年10月27日
唾液が出なくなってしまい色々不具合が出てくる状態を、口腔乾燥症(ドライマウス)と言います。具体的には、お口の中がネバネバする、唇や頬っぺが歯にまとわりついて不快、しゃべりにくい、味が分からない、口がカパカパ乾いて夜眠れない、何回治しても悪くなる重症な同時多発むし歯、歯周病に伴う口臭や咀嚼障害、舌ベラが痛い、入れ歯が痛くて入れてられない、乾いた食べ物が食べづらい、飲み込みにくく良く誤嚥してむせる、など大変辛いものです。
様々な原因がありますが、糖尿病やシェーグレン症候群などの全身疾患、高血圧やうつ病などの治療薬の副作用、ストレス社会を生き抜くための過度な精神的ストレス、鼻疾患やアレルギーなどによる口呼吸、更年期障害など。治療は大変難しく、まずは原因の特定することが重要ですが、医科との連携が必要で、全身疾患が存在する場合はその治療、薬の副作用が考えられる場合は薬の変更や減量など。
歯科的な治療としては、まずはしっかり噛めるように治療してよく噛むことが重要ですが、人口唾液や保湿ジェルなどの対症療法や唾液腺マッサージや筋機能療法があります。
2012年9月13日
お口の中には耳下腺・舌下線・顎下線の3大唾液腺と粘膜随所に小唾液腺があり一日に約1.5リットルも分泌されます。お口の中だけでなく飲み込むことで食道や胃にまで有益な作用をしています。
美味しそうなモノを見たり酸っぱいものを想像しただけでジュワーっと唾液が出てきますが、アミラーゼという消化酵素が存在し消化を助ける消化作用やお口に入った食物に潤いを与え味物質を溶かして味を感じやすくし飲み込みやすくしている溶解作用。食べ物カスなどを洗い流す浄化作用。発音や会話をスムースに行えるようにする円滑作用。酸・アルカリなどを薄めてpHを一定に保ち細菌の繁殖を抑える緩衝作用。歯の表面に皮膜を作り唾液中のカルシュウムやリンを吸収させ再石灰化を起こさせる保護・再石灰化作用。そしてリゾチーム、ペルオキシターゼ、ラクトフェリン、などの傷を治す成分や止血作用のある物質が存在し、傷の治りを早める作用があります。
もし唾液がなかったらどうなるでしょうか?大変苦痛で色々な不具合が生じます。近年注目されている口腔乾燥症(ドライマウス)です。
2012年9月13日
タバコの煙の中にはニコチン・タール・一酸化炭素・シアン化化合物など発癌物質を含めた2000を超える有害物質がありますが、その害として癌の発症リスクが非喫煙者に比べ口腔癌は4倍以上、喉頭癌は20倍と言われています。実は歯にも多くの影響があるのです。
ニコチンはその薬理作用で、歯ぐきの血管収縮を起こさせ血流不足となり新陳代謝を阻害し、免疫機能低下も起し、歯周病になりやすく又治療しても治りにくい状態にしてしまうことが知られています。
またタールはヤニとして歯にこびり付き表面をザラザラ凸凹にすることで見た目に悪いだけではなく、歯の周囲に汚れがたまり易い状態にしてしまうことでむし歯や歯周病の原因になります。
さらに副流煙はもっと害が多く、一緒にいる大切なご家族をその惨禍に巻き込んでいるとも言えます。
歯科ではタバコの悪影響を最初に知ることができるので、歯科治療時に歯科衛生士さんから優しく禁煙を勧められることがあると思います。是非禁煙にトライしましょう!しかし、そもそもはニコチン依存症という薬物依存症ですので難しい場合は医科に種々の治療法が存在しますので、ご相談すると良いと思います。
タバコ止めますか?歯あきらめますか?
2012年8月12日
最近年のせいか新聞の訃報欄をよく見る。
若くして重い病気を患いながらも、つい先日まで私の医院に通ってらっしゃった方のお名前が出ていましたた。初診から最近の事までハッキリ思い出されてご冥福をお祈りしましたが、その時大学の同窓会での友人の言葉が頭をよぎった。「30年も小さな田舎町で開業していると、誰かが亡くなればまず自分の患者さんなので、その方が亡くなる最後の最後まで美味しい生活をサポートできたかなあ。上手に送ってあげられたかなあ・・っていつも思うんだ。」・・・っと。
その患者さんは基礎疾患が重かったので、なかなか歯科医院で診てもらえず、困り果てての来院でした。抜歯もままならず、とにかく噛めるように食事ができることを最優先に義歯を装着し、ケアを続けていました。突然通院が途絶えての訃報でした。
歯科は「生活に密着した医療」という概念であり、痛みをとったりする以外に最後まで美味しく食事をして頂けるか?楽しくお話しが出来るか?気持ち良く生活出来るか?をサポートすることも大きな目標にしている。
超高齢化社会で「最後まで美味しく」をキーワードに医科歯科連携や、歯科医たちの医科的な研鑽も大きな課題となっている。
2012年2月16日
歯科医院での白衣の天使と言えば歯科衛生士さんです。素敵な白衣に身を包んで、不安な気持ちの患者さんに笑顔で優しく対応してくれています。
ドクターはむし歯の治療で削ったり、根の治療をしたり、詰めたりかぶせたりと忙しいので、歯周病の状態を調べる検査や、お口の中をどうやったら綺麗に出来るのかを教える歯ブラシの実地指導、歯石を取るスケーリングという処置等は歯科衛生士さんの助けを借りて行うことが多くなっています。また高齢化により訪問歯科衛生指導や介護の現場でも歯科衛生士さんのニーズは高まってきています。
しかし現場では今年3月に清水の馬走にあった33年続いた山水歯科衛生士専門学校が諸事情で閉校となったこともあり、もともと不足がちな歯科衛生士数がさらに不足になって行くことが予想されています。
私たちは歯科医療荒廃にも繋がりかねないこの状況を何とかしなければと考え、結婚育児などで退職された方の復職指導や公立又は歯科医師会立の歯科衛生士学校の設立の検討を各方面に働きかけたりしています。
国家資格である歯科衛生士は、求人率200%と魅力的な職業でもあります。
先ずは市民の皆さんに現状のご理解をお願いします。
2011年12月15日
歯科関係から介護認定審査会に参加しているのは、清水区では11人いて一人平均月に2回の審査会に出席しています。その審査会で問題となる項目に認知症があります。お口の健康と認知症は関係があるでしょうか?
平成22年度厚生労働科学研究として行った分析で「咀嚼能力(噛む能力)の低い人は、認知症の発症リスク(危険度)が高くなる」という事が明らかになり、札幌市で開かれた第21回日本疫学学会学術総会で発表されました。リスク度合いの計算では、残っている歯が20歯以上の人と比べて、歯がなく義歯入れてない人の認知症発症リスクは1.9倍、なんでも噛める人に比べて噛めない人は1.5倍、かかりつけ歯科医院がない人は、ある人に比べて1.4倍ということです。
8020運動の意味が裏付けされた訳ですが、歯を健康に保って上手に噛める状態にしておくことが重要で、たとえ歯を失ってもブリッジや入れ歯・インプラント等で噛めるようにしておくこと、その為にはかかりつけ歯科医院を決めて定期的に通い、親から頂いた歯を上手に現状維持できるようにして行くことが大切ということです。
私たち歯科医もそのお手伝いが出来るように常日頃から生涯研修を重ねています。
2011年9月28日
福島原発事故により、放射能汚染問題が深刻になっています。歯科で放射能といえば、エックス線を使うレントゲン撮影ですが、さらなる被ばくを心配されて他科でレントゲンを撮っているので歯科でレントゲンを撮るのが心配だという患者さんがみえます。
地球上に暮らしていることで誰しも年間1.5(日本)2.4(世界)、東京~NY間航空機旅行(往復)では0.2という値(単位ミリシーベルト)ですが、一般の歯科医院で撮られるレントゲン撮影は主に2種類あり、3~4本の歯を撮影する約3×4センチ大のデンタル撮影は0.03、お口全体を撮影するパノラマでも0.04です。医科の胸部レントゲンが0.05、胃のバリウム造影が4.1、胸部CT撮影が6.1と比較するとかなり低い放射線量であることが分かります。
なので、歯や骨を扱う歯科でのエックス線レントゲン検査はほぼ安全であると言えます。しかし、いくら少なくても放射線量は蓄積するので、出来るだけ少ない方が良いという原則にのっとり、医科・歯科問わず病気と被ばくを天秤にかけて病気を治すために必要不可欠であるというしっかりした診療方針にのっとり利用される場合は、それほど心配は要らないということが言えるでしょう。
2011年8月3日
長引く避難所生活での震災関連死についてその対策を考えてみましょう。先ずは、非常用持ち出し袋に歯ブラシを入れておきましょう。
不幸にして、歯ブラシがない場合は、指でじかでも良いし、布やタオル・ティッシュでも良いから指に巻いてとにかくこすって綺麗にするように心がける。デンタルリンスがあれば、少量でもお口に入れて行うと良いです。水が思うように手に入らない場合などは、唾液をできるだけ出してブラッシングをおこないます。結構唾液が出ますのでグジュグジュできます。
○普段から正しいぶくぶくを知っておくことも必要。水と空気を半々にしてグジュグジュぶくぶく。ペットボトルのキャップ一杯の水でうがい、もう一杯で歯ブラシを洗う練習をしてみましょう。
就寝中入れ歯は枕元に置き直ぐに手に取れるようにする。心配な方は夕食後外して粘膜を数時間休めて、綺麗に清掃した後お口に入れて寝る。与えられた食べ物はドロドロになるまで良く噛んで唾液を出して呑みこむ。食後にキシリトールなどのシュガーレスガムがあれば、噛むのも良いでしょう。
勿論、普段気になっているむし歯や歯周病・親知らず等があれば早速治療を済ませておくことは言うまでもありませんね。お口の場合も「備えあれば憂いなし」です。
2011年6月12日
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