コラム
東日本大震災以来、色々なことを考えさせられました。今だに10万人以上の避難所生活者がいらっしゃる現実があります。幸いにして直接地震や津波から逃れることが出来ても、その後の避難生活で震災関連死という魔の手が迫ってきます。
震災関連死とは「震災に遭わなければ、死ななくて済んだはずの方が死んでしまうこと」。阪神淡路大震災では、死者6434人のうち 922人がこの震災関連死。その24%が肺炎でした。
避難所生活が長引くと、
●ストレスによる唾液出にくくなること
●入れ歯紛失による噛めないこと
●水不足によるお口の洗浄(口腔ケア)不足
●食事の不規則やお菓子などでの食事の代用
など内容の悪さによる体力低下とお口の汚れと、元々あったむし歯や歯周病・親知らず等の悪化・・などが災いして、お口の環境が悪くなり、免疫力が低下します。すると、お年寄りや子供・体の悪い弱い方から、色々な問題が起きてきます。
主には前述したようにお口の中の細菌が増え誤って肺の方に飲み込むことによる誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。お年寄りは熱が出ないこともあり気づかぬうちに最悪な状況となっていることがあり、死に直結します。
では、その恐怖から逃れるためには、どうしたら良いでしょうか?まずは、非常用持ち出し袋に歯ブラシを入れましょう!と言うところですが、続きは次回。
2011年6月9日
2010/10/14静岡新聞夕刊一面「チリ落盤事故 全員生還」 の記事の中
昨年の夏から秋にかけて世間を騒がせたチリ落盤事故は33人全員生還の劇的な救出成功で幕を下ろしたが、その日の夕刊に「病院に搬送された作業員17人のうち1人が急性肺炎を患い、全員にむし歯が見つかった上、うち2人は全身麻酔を伴う歯科治療が必要な状態であることを明らかにした。」とあった。
約2カ月半の閉鎖空間での生活では心身両面の健康を維持することは容易ではなかったろう。途中からは新たに削屈された穴から手紙や水・食料・生活雑貨・・歯ブラシなども供給されたのだが、劣悪な環境下での健康創出は難しく、特にお口の中には人は誰でも常在菌というたくさんの菌を微妙なバランスで住まわせているが、水の使用制限があるような状況下ではお口の中を清潔にできずに、一部の細菌たちが異常に増殖して暗殺者となってしまう事があり、歯周病の悪化、むし歯の進行、誤嚥性肺炎などが起こったのだろうと推察できる。
まさに全身の健康はお口から・・であり、歯科っていい加減にしておけない大切なことだなと皆さんも思われた ことでしょう。ラテンのノリで言うと「チチチ!リリリ!歯歯歯!!」」となるわけです。ハハハ!(改訂版)
2011年1月13日
11月8日はいい歯の日でした。皆さんはご自分の歯について振りかえってみましたか?県歯科医師会でも歯の関連情報発信のためのSBSラジオジャックや各歯科医院で配布されたカレンダー形式のスマイルキャンペーン事業を行いました。またテレビでは最近かつてないくらい歯についての番組が放送されました。
NHKためしてガッテンでは「痛!歯がしみる割れる 本当は怖い!知覚過敏」として歯周病や歯軋りとブラッシングによる知覚過敏について、ゆうどきネットでは「歯を守る新常識!食後すぐ歯磨きは×!?」、あさいち「ガッテンコラボ大人のおんなの美歯道」、朝日テレビ系列ではみんなの家庭の医学「がんの原因が歯並び!“緊急!家庭でできる口の中ドック開院!”」で、お口の中の癌について分かりやすく説明。
またフジテレビ系列とくダネ! 「糖尿病を歯で改善?医療新常識」、日本テレビ系列DON! 「早い!削らない!痛くない!2010歯科治療最前線」などなど、お笑い芸人や識者などが面白おかしくコメントしながら早期発見や歯の管理の仕方を紹介していました。
マスメディアでの放送内容は注意しないと偏った内容や誤解を与える場合などがあり注意が必要だが、前記番組は概ね正しい内容で皆さんのお口の管理に役立ったのではないかと安堵しています。
こういう機会にお口の中をセルフチェックして気になることがあれば早速主治医に相談しましょう。
2010年11月30日
皆さんは痛くもないのに歯医者に行くなんてまさか!と思っていませんか?歯医者は行きたくない所ランキングで一番かもしれませんが、お口の中の病気は症状が進まないと自分で発見できないのが普通なので、発見が遅れればより大変な治療をしなくてはなりません。良く言う「早期発見・早期治療」が大切ということですね。
最近は、保険制度で「歯科疾患指導管理」とか「義歯管理」というような文書を数カ月に一度患者さんにお渡しするようになりました。皆さんにご自分のお口の中の状況や病気の治療そして現状維持には何が必要かを知って頂く為で、如何に管理して行くことが必要かということの表れです。
何も症状がなくても「むし歯や歯周病の検査をお願いします」と一度勇気を出してお口全体を診てもらうと良いですね。ほとんどの方は上手に磨いていても磨き残しがあったり歯石が付いていたりと問題があるものです。スケーリングという歯の周囲の清掃をしたり、歯ブラシの練習をすると、歯茎が引き締まって歯の表面が驚くほどツルツルになって気持ちが良いものです。必要な治療は済ませてしまい、半年から一年の定期検診でクリーニングを行っていくようにすると、安心だし、気持ち良く過ごせます。
なので、そう考えると歯医者は気持ちが良くなりに行く所ランキングで、かなり高位に喰い込みそうです。そう、今がチャンスです。
2010年8月12日
爽やかな風と共に今年も学校健診の時期がやって来ました。音楽室からかすかに聴こえてくる唱歌、校庭で騒ぐ子供たちの楽しそうな声、私たち学校歯科医にとってこの季節は多忙でも楽しい季節となっています。
健診結果に家族は一喜一憂するものですが、気をつけて頂きたいのは、学校健診は医療機関での疾病診断とは異なり、健康状態の把握が基本的な考えで、問題があるモノや疑いのあるモノを集団の中から選び出すためのスクリーニングであるということで、現在は「異常なし」0、「要観察」1、「要精検」2、の3段階で検査しお知らせを出しています。そしてむし歯や歯周病だけではなく、歯垢の付き具合や顎・かみ合わせ、歯並び・・・など生きる力をはぐくむ「歯とお口の健康」という概念で健診をしています。
さらに、最近目を覆いたくなる児童虐待が報道されていますが、健診の場での児童の様子の不自然さやお口の中の状態を見ることで、児童虐待を発見できることがあります。歯の外傷はもとより、親の保護怠慢による多数むし歯の放置や清掃不良による歯周病などが見られる場合は児童虐待を疑って学校長に速やかに報告する事になっています。「お口は健康の窓」という言葉がありますが、私たちは「生活を写す鏡」と言えると思っています。
2010年4月11日
入れ歯を新しく入れた場合、次回にその具合を診る為に予約をとります。入れ歯はモノが出来てお口の中に入った時点で完成ではなく、微調整をし使用して頂いてから更に検査・調整をし、具合が良くなって始めて完成になるということです。
患者さんによっては入れただけで何の調整をしなくても「調子が良いよ」と言って頂ける場合もありますが、そういう場合でも自分で気付かない不具合などをチェックしておかなければならないのです。そのチェックポイントの一つに入れ歯をキレイに清掃できているかどうかということがあります。
ある時具合を見せに来た患者さんが、嬉しそうに「具合は良いですよ。早速帰りに洗浄剤を薬局で買って毎日使っています。」というので、入れ歯を外して見てみると内面や内側に歯垢がベッタリついている場合があります。
私の医院では入れ歯を入れる際には取扱い法や注意事項をお話し、コピーした冊子も差し上げるのですが、残念ながらテレビCMの効果は絶大で、あの泡の出る洗浄剤に浸けておきさえすればキレイになっていると思い込まされている方々が多く、ガッカリさせられます。
入れ歯はプラスチックの食器と思って食器洗剤で入れ歯用のブラシを使って明るい場所で汚れを確認しながらヌメリをキレイに落としてから、入れ歯洗浄剤などに浸けるようにししましょう。
2010年1月17日
食欲の秋となりました。食べることは人の本能の一つで、長い歴史の中で多種多様な食を文化として育んできました。テレビ・雑誌では美味しそうな話題満載です。しかし、カロリーの取り過ぎはいけませんね。
2008年4月からの特定健診制度開始以来新たに取り組んでいらっしゃる方も多いと思います。ダイエットの決定版をお教えしましょう!約100年前に裕福に任せて美食を重ね太ってしまったアメリカ人の時計職人フレッチャーさんが良く噛んで味わって食べることですっかりダイエットに成功したことをエール大学の栄養学者チッテンデン教授が学問的に裏づけた「フレッチャイズム」。
本当の食欲が出るのを待ってから、最も食欲を訴え且つ食欲の要求する有効な食物を選んで、楽しみ集中して、完全に咀嚼して食物の味覚を味わい尽くし、実際に飲み込まざるを得なくなってから飲み込むと良いということです。噛んで飲み込みたくなったらチョッと我慢して更にまた噛むことを3回位やらないとならないようですが、これでダイエットできるならありがたいことですね。
勿論お口の中が良く噛める状況にあるかが大前提ですョ。昔から「夕焼けに鎌を砥げ」という言葉がありますが、「食欲の秋に歯を磨け(治せ)」ということが言えますね。
2009年9月3日
6月7日に清水区歯科医師会のイべントWe Love Teethが行われました。今年は成人200名、小児300名、合計約500名が相談・健診を受けられました。
会場にブースを出して様子を伝えるエフエム清水の生放送の特番でお口に関する質問のコメンテーターを務めましたが、ちょっと面白い質問がありました。「お仕事とはいえ、人のお口の中を見るときに一番嫌なことはなんですか?(たとえば口臭とか・・・)」という質問でした。
労いの意味合いも感じる質問でしたが、私たち歯科医は、来院された患者さんの色々な情報をキャッチして診断を行うので、いわゆる口臭も重要な情報ですのであまり気になりません。「よーし、このお口を綺麗にしてやるぞ~!」と腕をまくりたくなります。
となると一番嫌なことは何だろう?と考えてみると、個人的にですが、自分の治療なのに根気がなくすぐに口を閉じてしまったりうがいばかり求めたり、他人事のようで話を聞いていただけないと残念な気持ちになります。
治療は医者サイドだけが行うものではなく、患者さんたちと二人三脚で行うものです。
医者も勿論のこと患者さんにも一生懸命前向きに取り組んでいただきたいと思います。もちろん我慢しすぎや無理は禁物です。気軽に相談してください。
2009年7月18日
毎年6月4日(むし歯予防デイ)を含む1週間は皆さんに歯についてふり返って頂く機会・・・「歯の衛生週間」とされています。
清水区歯科医師会では、来たる6月7日(日)午前9時30分から12時まで渋川の清水区保健センターにて、「We Love Teeth 」(歯っぴい噛む噛む8020)を行います。(健診受付は11時30分まで)
当日会場では歯科医師会の先生方が「無料歯科健診(小児・成人)」「フッ素洗口」「お口の健康相談」「成人歯周疾患検診(40歳以上の静岡市民:運転免許証等身分証明書をお持ち下さい)」などを行います。又、今回は、主に60歳以上の方々を対象に、毎日を生き生きハツラツと過ごすための上手な食べ方のお話「食べ方上手は生き方上手」と題した講演会(①10時②11時)も開催。(直接会場へお越し下さい)
その他、歯科技工士会の方々による無料足型・手形の石膏模型作成や、エフエム清水マリンパルによる特番「We Love Teeth 」が9時から11時までオンエアされます。番組では皆さんから頂いたお口に関する質問などを歯科医が楽しく明快に回答するコーナーや歯に関するイエス・ノークイズなどあります。
「美味しい生活」は楽しく元気な生活を約束してくれます。お気軽にご来場ください。
2009年6月6日
人は普段上下の歯を合わせていない「安静空隙位」とう顎の位置でいるのが普通です。日中、仕事に夢中になっている時にギュッと噛みしめたり舌を吸いつけたり、スリスリと歯軋りする事はありませんか?こんな時は深呼吸をしたり、肩の力を抜て上下させたり、頬の力を抜いて歯を合わせないようにしてみましょう。
では、夜間の歯軋りはどうすればよいでしょうか?睡眠中、無意識下でも前回お話ししたような事実を知り、自己暗示療法で歯軋りが少なくなることが知られています。思い切り噛みしめて1~2秒後にフッと顎の力を抜くと上下の歯がわずかに開いた状態になります。
これがリラックスした位置です。呼吸に意識を傾け吐く時の脱力を繰り返し、リラックスしている自分に自己暗示し、「いい気分だ」「楽だ」「今夜は歯軋りしないようにしよう」などと言葉で唱えてみましょう。翌朝スッキリ目覚める自分をイメージしながら眠りにつくと良いと言われています。
それでも止まない時は歯科医院でマウスガードを作成してもらうのも良いでしょう。気になる方はかかりつけ歯科医に相談を!!(参考:日本歯科医師会雑誌Vol.53No.4 2007/1)
2009年4月11日
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