30.最後まで美味しく…終末時の歯科の役割
最近年のせいか新聞の訃報欄をよく見る。
若くして重い病気を患いながらも、つい先日まで私の医院に通ってらっしゃった方のお名前が出ていましたた。初診から最近の事までハッキリ思い出されてご冥福をお祈りしましたが、その時大学の同窓会での友人の言葉が頭をよぎった。「30年も小さな田舎町で開業していると、誰かが亡くなればまず自分の患者さんなので、その方が亡くなる最後の最後まで美味しい生活をサポートできたかなあ。上手に送ってあげられたかなあ・・っていつも思うんだ。」・・・っと。
その患者さんは基礎疾患が重かったので、なかなか歯科医院で診てもらえず、困り果てての来院でした。抜歯もままならず、とにかく噛めるように食事ができることを最優先に義歯を装着し、ケアを続けていました。突然通院が途絶えての訃報でした。
歯科は「生活に密着した医療」という概念であり、痛みをとったりする以外に最後まで美味しく食事をして頂けるか?楽しくお話しが出来るか?気持ち良く生活出来るか?をサポートすることも大きな目標にしている。
超高齢化社会で「最後まで美味しく」をキーワードに医科歯科連携や、歯科医たちの医科的な研鑽も大きな課題となっている。
2012年2月16日